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献血宣言

献血宣言

   



諸君 私は献血が好きだ

諸君 私は献血が好きだ

諸君 私は献血が大好きだ




血液センターが好きだ

献血ルームが好きだ

献血車が好きだ

COBE Spectra が好きだ

AMICUSが好きだ

血小板献血が好きだ

血漿献血が好きだ

翼状針が好きだ

硫酸銅水溶液が好きだ



駅前で 公園で 街中で ビルで 学校で 教会で 車中で 講堂で 旅先で 海外で

この地上で行われる ありとあらゆる献血行為が大好きだ




ベッドをならべた 講堂の一角が 看護婦と共に提供者を 待ち構えているのが好きだ

問診室に放り込まれた提供者が 血圧測定をやり直す時など 心がおどる

看護婦の操る 注射器の針が 提供者の腕に入るのが好きだ

ベテランの看護婦が 採ったばかりの血小板を見て 溜息混じりに 「良い血小板ねぇ」と言うのを聞いた時など 胸がすくような気持ちだった

採血キットをそろえた 看護婦の表情が 初めての提供者を 優しく見つめる姿が好きだ

緊張状態の提供者が 既に採血し終えた腕を 何度も何度も確認している様など 感動すら覚える

血液検査目的のみの 献血希望者達が医者に 丁重に断られる様などはもうたまらない

悦楽に胸躍らせた献血者達が 看護婦が預かっている問診表とともに 

CAT−Vの備え付けられたベッドに 呼ばれ嬉々として横たわる姿は最高だ

普段は10単位の成分献血が 血液不足のためか看護婦が 「20単位分抜かせてくれないか」と頼んできたのを

即答で了解し いつもの二倍も自分の体に戻ってくる少し冷えた血液の感触を味わえた時など 絶頂すら覚える





新米の看護婦に 注射針を刺されるのが好きだ

必死に維持するはずだった総血小板量が減少し AMICUSのサイクル数を増やされていく様は とてもとても悲しいものだ

献血者数の増加によって 待ち時間が増えるのが好きだ

両腕採血機に気をとられ 腕を動かしてしまい血管を突き破ってしまうのは 屈辱の極みだ 


諸君 私は献血を 怒涛の様な献血を望んでいる

諸君 私に付き従う血液提供者諸君 君達は一体 何を望んでいる?

更なる献血を望むか? 空にも上る様な 夢の様な献血を望むか?

安心立命の限りを尽くし 三千世界の鴉をも生かす 嵐の様な献血を望むか?







献血!! 献血!! 献血!!







よろしい ならば献血だ

我々は全身の力を抜いて 今まさに血を抜かんとする猛者達だ

だが この遠き亜米利加の下で 何年もの間 堪え続けて来た私に ただの献血ではもはや足りない!!






成分献血を!! 一心不乱の血小板献血を!!







私は奇しくも孤立無援 たった一人の留学生に過ぎない

だが諸君等は 一騎当千の古強者だと 私は信頼している

ならば我らは諸君と私で 総兵力1000人の献血集団となる




献血を只の偽善行為だと決めつけ 嘲り笑っている連中を叩き起こそう

腕をつかんで 注射針を刺し 血小板を分離させ 思い出させよう

連中に成分献血の良さを 思い出させてやる

連中にバクスター社の AMICUSの機械音を思い出させてやる

天と血とのはざまには 偏見まみれの奴らでは思いもよらぬ感覚がある事を思い出させてやる




一千人の吸血鬼の献血集団で 世界の要輸血者を救い尽くしてやる










(出典「ヘルシング」四巻)





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